あなたも詩人かも。凡人脱却歌詞当てクイズ
寂しさ紛らすだけなら、だれでもいいはずなのに
星が落ちそうな夜だから、自分をいつわれない
うーん、深い。
なんの歌詞だか分かりますか。意外と聞き覚えある曲でも歌詞を真ん中だけ切り取るとメロディが浮かんでくるまで時間がかかるんですよね。
これは山崎まさよしの「one more time one more chance」のワンフレーズです。秒速5センチメートルのエンディング曲として広く知られているんではないでしょうか。
この歌詞、たった二行なのに情景がはっきり浮かんできますよね。
時代を問わず長い間歌のテーマとされる恋愛。
恋愛と一言でいっても人の数以上の多種多様様々な出会いと別れがあるわけで、全く自分と同じ心情を描いた既存の歌など存在しません。ただ、自分がずっと抱えていた言葉にできない感情。その感情にとても近い素敵なメロディをもった歌詞に出会えた時、心の奥から感動が沸々と湧き上がってくるんだと思います。
ただ、感動を掘り当てる歌詞。これが凡人には書けねぇんだ。
ってことで、今回は俺が聴いてて脱帽した表現を少しピックアップしたいと思います。お付き合い願うぜ。
第一問
I LOVE YOU / 尾崎豊
アイラ―ビュー、今だーけは、悲しい歌ー。聞きたくーないよー。
なんて唄い出しの部分はご存知の方も多いのではないでしょうか。尾崎豊の代表曲の一つ「I LOVE YOU」。尾崎と言えばやはりそのパワフルな叫び声と繊細な囁き声から紡がれるメッセージ性の強い歌詞でしょう。十代の教祖とまで呼ばれた尾崎豊が書く聖書のような数々の名曲は、尾崎亡き今も長い人気を誇っています。
そんで、クイズはこちら!テテン!
きしむベッドの上で 優しさを持ち寄り
きつく躰(からだ) 抱きしめあえば
それからまた二人は 目を閉じるよ
悲しい歌に 愛が○○○○しまわぬ様に
どうでしょう。ここだけでもなかなか艶めかしい歌ですよね。ドキドキしちゃう。
さて○○○○に入るフレーズは何でしょう!
私を含めた凡人同盟の意見はきっと
・愛が冷めてしまわぬ様に
・愛が消えてしまわぬ様に
・愛が溺れてしまわぬ様に
こんな感じでしょうか。いやー凡人ですね。正解は…
きしむベッドの上で 優しさを持ち寄り
きつく躰(からだ) 抱きしめあえば
それからまた二人は 目を閉じるよ
悲しい歌に 愛がしらけてしまわぬように
「しらける」でした!うーん深い。
やっぱり、愛とか恋の言葉に一番アプローチするマイナス用語は「冷める」ですかね。実際意外と「しらけた愛」とかって表現は聞くんですけど、それを自分の言葉としてはつかえないものです。
きしむベッドの上で抱き合っている二人。光景だけ切り取ればそれだけの話でしょう。しかし、たった四行の歌詞で抱き合う二人の気持ちまでもが丸裸になり、その言葉、歌声が生み出す生命力。うーん脱帽!
第二問
マキシマムザホルモン / maximum the hormone Ⅱ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~
ちょいと感動路線は休題。
最近出ましたホルモンの新曲から。日本語検定一級のリスニングテストで使用されていると巷で噂のマキシマムザホルモン。
ふざけた歌詞が蔓延る現代邦楽。その点ホルモンはすげぇよな、最後まで(いいように言えば)独創性たっぷりだもん、そんな長瀬智也も認めてそうな音楽界のトッポからクイズです。
ぽってり派ざまーねー!
ぽっちゃり派黙れ!
○○○○○○○○○○○○○○○
さて、最後に叫ばれる言葉は何でしょう。もうクイズというより推理に近い難易度な気もします。
歌詞の通り、この曲は世の中に蔓延るデブ派へのアンチテーゼです。
そして頭韻「ぽ」で踏んでるのは分かりますね。となると…
・ぽっちゃり派くたばれー!
・ぽっこりお腹になんかなるかー!
・ぽっくり死んでたまるかー!
こんな感じですね。ここらへんが「凡人」の表現でしょう。
さて、邦楽界に頑固たる地位を築き上げた鬼才、マキシマムザホルモンが叫んだ言葉はこちら。
ぽってり派ざまーねー!
ぽっちゃり派黙れ!
ポン・デ・リング 俺 めっちゃ好き
正解は唐突なミスドの宣伝でした。
正直頭おかしいですよね。こんなかんじにホルモンのどの曲も頭から尻まで無茶苦茶な言葉のセンスで埋め尽くされています。
狂気を帯びた言葉遊びって結構難しいんですよ。その中でもしっかりメッセージ性まで包括しているわけですからね。伝わってるかどうかは置いておいて。つまりホルモンってすげぇよな。
第三問
米津玄師 / lemon
説明不要の今年を代表する名曲。個人的にレコ大はこれかUSAだと思ったんだけどなぁ…もうみんなの耳にこびりついているだろうから、答えわかっちゃうだろうけど、クイズはこちら!
あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない ○○○(形容詞)レモンの匂い
タイトルにもなったレモンの匂いについてのクイズ。
レモンと言ったら?「すっぱい」ですよね。「黄色」もそうか。いわば「甘酸っぱい恋」を「レモンのような恋」とか表現したり、なんかレモンって颯爽と果物の中で立っているというか正の位置に属しているという気がします。「すっぱさ」という味覚が甘さにたどり着かない未熟な気持ちを起因させるんでしょうか。
だが!米津さんは、lemonとタイトルを付けたくせに「すっぱい」も「黄色」も一切使用しておりません!。
では、なんとレモンの匂いを表現したのか。
あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
「うわーやられたー。「レモンの匂い」=「苦い」かぁ!」
これ初めて聞いた時の感想です。レモンの匂いと聞いて「苦い」を引っ張ってこれる人いますか?俺には無理です。すっぱいの印象が強すぎますもん。頑張っても引っ張ってきても「甘酸っぱい」ですかね。こんな表現生ぬるい恋愛小説にも使えません。
失恋ソングでのレモン。それを「すっぱい」で押さえてしまうと急に曲の印象が青春ソングというか、悲しみに対して深く潜れなくなる印象を受けます。そこでレモンを「苦い匂い」とだけ表現する。タイトルまでレモンのくせして、レモンについては「苦い匂い」だけ。いいねぇ…
この前スーパーに行ったときレモンを嗅覚で感じてみました。
なるほど、これが米津さんが歌っていた失恋の匂いなんでしょう。
と約3000字に渡ってお送りした歌詞当てクイズ。いかがだったでしょうか。
耳を閉じて、じっくり歌詞として生まれた言葉を追ってみるとその大好きな曲がさらに好きになるかもしれませんよ。
あー塾に遅刻する