淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

わたしはちいかわになりたい。

日用品はより安いものを。古今東西、貧乏一人暮らしの鉄則である。香りや質感などの生活にまとわる「こだわり」は実はただの「慣れ」である。使ってみたらなんら変わらない、むしろ無名商品の方がコスパ的に優れていたなんてことはよくある。何に効くのか分からないなんとか成分がなんとか配合された新商品なんて売り文句に惑わされずに私は今日も最も安い商品をカゴに入れていく。

しかし困ったことがある。最安商品の横に、あいつがいたのだ。

ちいさくてかわいい生物、ちいかわが。

 

突然だが、ちいかわが持つ嗜虐性に惹かれる人間は私だけではないだろう。不憫なのがかわいい。もっとかわいそうになれ。お前はともだちの力に頼ってばっかりで情けないと思わないのか?鳴き声と表情で察してくれじゃなくて、言葉で説明する努力しような。そんな応援をぶん投げている人間は少なくないはずだ。

街でちいかわを見つけると草むしりすら十分にできない無器用な生物が突然コンクリートジャングルに放出され、疲労や羞恥に耐えながらプライベートを投げ捨てて仕事を選ぶ権利なく労働し続ける売り出し中のアイドルのようにも見えてきてつい応援したくなるというか「もっとコラボしろ……」と仕事に潰されていくちいかわを期待したりする。

間違えてほしくないのがちいかわを虐めたいわけではない。もちろんいちファンとして彼の幸せな生活を望んでいる。ただその過程で苦悩し混乱するちいかわを眺めるのことを是とする気持ち、崖の上から子供を眺める親のライオン的な気持ちで接しているのだ。書いてて思った、私はある種の変態なのかもしれない。

それゆえにコラボ商品を見かけるとついそちらに手が伸びてしまう。ちいかわ以外に青いやつとか黄色いやつがいるけど興味がないので名前は知らない。たぶん、こいつらも「ちいさくてかわいい」から"ちいかわ"なんだと思う。だけどやっぱり白いちいかわが1番小さくてかわいいと思う。

ちいかわは王者サンリオや覇者ポケモンと違ってコラボをしても定価で据えられていることが多い。なので特別価格になることもなく、今回みたいにいつも買っている価格のモノより¥30くらい高くても、ちいかわ代として許容してしまう。そして買ってから「ティッシュケース付けるからちいかわ見えないじゃん…」と気づいてまやかしに負けた自分が嫌になる。ちいかわ、もっとかわいそうになれ。

そとそもなんでここまでこのキャラクターがウケてるのか不明だ。投稿された漫画のリプ欄を見ると、赤ちゃんに向けるような幼稚な言葉遣いでちいかわの奮闘を応援している女性ファンが多い。個人的にはちいかわは持ち家があり、親元を離れ自立しているので成人だと捉えている。(それゆえに草むしりすらできない成人という虚像に嗜虐性がそそられるのかもしれない)

ちいかわを応援している女性ファンはきっと職場でも「あっ、あっ」と泣いちゃうちいさくてかわいい成人に「負けないで❤️頑張って❤️」と言葉をかけてくれる女神なのだと私は思う。だから私は男らしさとか甲斐性とか全部投げ捨てて、ちいかわを選ぶ。

(肝っ玉が)ちいさくて(もっさり天パが)かわいい26歳。わたしはちいかわになりたい。

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