レジ袋有料化の目的
レジ袋いりますか?
いつの間にかレジ袋が有料化していた。
どうやら7月1日から始まったようで、それを知らなかった私は「今日からレジ袋は有料です」の言葉にビビってしまい「あ、なら大丈夫です…」とそのまま商品を受け取る。コンビニから出てきたのは三ツ矢サイダーキャンディを持ったサラリーマン、それが私。家路を三ツ矢サイダーキャンディ片手に歩く24歳、それが私。
レジ袋有料化の目的は経産省のホームページに記載されている。
『レジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけにすること』
とのことらしい。
「生活」ではなく「ライフスタイル」、あえて英語を使うことでスマートにアサートする行政のトレンドが垣間見える。
正直この目的には驚いた。もっと「地球温暖化の抑制と海洋プラスティック問題の解決」のような大義な目的を掲げているかと思えば、それは背景としてあるけれど、目的は「ライフスタイルの見直し」。この距離感がお見事である。
確かに人間一人に地球規模の問題を提起されても荷が重すぎる。「私たちの星、地球が…」と言われても“私たちの国”でさえ危ういし……。そこで視点を地球ではなく個人の生活環境=ライフスタイルに動かした。また温暖化問題によく使われていた“解決”や“変化”などの労力を使いそうな言葉を避け、“見直し”という柔らかい表現を選んでいる。これで「たかがレジ袋で世界が変わるわけねーだろ」とか「地球がこうなったのはお前ら大人のせいじゃないか!」と声を荒げる天邪鬼たちへの心配はなくなったわけだ(どちらの主張もその通りなんだけど)。
さらには最後を“〜のきっかけ”でしめることでオブラートをさらにオブラートで包んだような、まるで伊勢丹の紙袋のような安定感を持ってこの一文は完成する。さすが経産省、国を代表する姿勢が慎重な言葉選びに現れている。
有料化してから11日経った。
特に不便は感じないし、買うといっても2円程度なら痛くない。
だが自然と手に入れていたゴミ袋が手に入らなくなったことにはいささか不便を感じる。
なんだか不本意ではあるがライフスタイルを見直すきっかけにはなりそうだ。
(森ビル/営業車内から撮影/ピカチュウかわいい)
過去記事もどうぞ