文学読書のすゝめ
やることがない日になにをするかと言えば、趣味に時間を使うのが一番だろう。
そして趣味と聞かれて「読書」を上げる人は少なくない。だが一概に「読書」と言ってもその楽しみ方は多岐にわたる。
読むという動作を好む人もいれば、文字や言葉そのものを好む人もいる。漬物石代わりになるような重厚な本の読破に楽しみを見出す者もいれば、何冊読んだかと達成感に愉悦を覚える人もいる。考察する人もいれば、参考にする人もいて、さらには啓発のために読む人もいる。
そして私みたいに手持ち無沙汰な気持ちの到着点として読書を構えている人もいるだろう。
そう考えると意外と皆「読書」はしているものだ。本というと単行本を想像する人も多いかもしれないが、厚さ数センチの冊子とかセンチにも満たない旅行パンフレットとか、いわば文字が書いてある紙媒体に目を通したのであればそれは読書なのではないかと私は思う。
重要な点は読書を通じて「知る」ことができる点だ。
先にあげたパンフレットが分かりやすいだろう。料金にスケジュール、過多とも言えずもがな様々な情報が蠢いて、そこから「知る」ことができる。
参考書とか啓発本もそうか。知識を知ることができるし、人の考えを知ることができる。あとは会社要綱とかもそうですね。会社のルールを知ることができる。
このようにある種、知識獲得のための行為として読書を捉えている人は少なくない。すると高尚な博識者である彼らが否定するのは何かと言われると大衆文学である。
まぁ確かに文学作品など言ってしまえば「空想」を好き勝手に書き連ねた自慰的作品(怒られそう)と言えなくもない立場である大衆文学。
そんな大衆文学を読む意味とはなにか。何を知るのか。個人的な意見を言おうと思います。
文学でよく題材にされる「恋愛」を軸に取り上げてみましょうか。
その中でも「失恋」なんて、まぁ王道ですよね。
さて、自分の「失恋」を思い返して、文字に起こしてみましょう!
つーても無理な話ですよね。思い出したくない的なトラウマ系失恋は置いといて、あの時の暗澹として鬱屈な気持ちは今呼吸をしてないんですから。無理やり思い出して書いたとしても、箇条書きで「出来事」しか書けない。取って付けたような喜怒哀楽がちょこっと乗っかる程度です。
そんなときに見比べてほしいのが、ナウ失恋している人のツイッター。
だいたいみんながポエムと言って嘲笑うようなツイートで溢れています。Twitterの文字制限を怨むような文字文字文字で埋め尽くされた恨み辛み。男女の境なく、汚い言葉で相手を貶す。かと思ったら急に冷めて自問自答を繰り返す。とりあえず落ち着けと意味を込めての「いいね」。いや全然よくないけど。
多くの人はこれを「ポエムwww」って嘲笑するでしょう。
ただ、これこそ生きている叫びであり、感情が行き着いた一つの形だと思います。
語彙力とか表現力とかそんなのは関係ない。他人の目線も関係ない。自分が言いたい事、抱えている感情、胸に渦巻く負の気持ちを素直に吐き出して形を成した言葉。私は見るたびに心を打たれます。同情でも哀れみでもなく、ただ単純に感情を動かされる時があります。まぁ元々哀れだったクソ野郎が地獄に落ちた時の愚痴ツイートは嘲弄しますが。
つまり感情をありのまま憑依させた言葉というのは凄い力を持つわけです。
それを物語に綴ったのが文学だと思ってください。たぶん大意的には違うんだろうけど。
両親が死ぬ、彼女が浮気する、親友が自殺する、借金の肩代わりになる、どれも不幸な物語の「出来事」としてはありきたりなものです。そしてそれではただの妄想に過ぎない。
それを物語に昇華させるには「感情」というレールを引き、その上に物語を乗せ話を進めなければなりません。しかし、言ってしまえばこの「感情」もまがい物。上っ面だけの話なら、読んでてすぐに嘘だと感づく。その感情に命を吹き込むためには作者の力量が大きく関わってきます。それは語彙力、感受性、これまでの人生、環境、それらを一つにまとめて才能が言葉を通じて暴れ出す。するとまるで自叙伝の如く、明瞭に幸福不幸の動転に満ちた人生を書き連ね、言葉にすることを躊躇うような罵詈雑言や読者を陶酔するような甘言で台詞が応酬し、まるであの時言葉の糸口を探していた感情が一冊の本に書かれている。
文学の中には一つの人生があると言っても過言ではありません。
いや、文学なんて所詮妄想でしょ。
と言いくるめればそこまでです。ただ本に関しては変に斜に構えず、素直に受け取った方が楽しいですよ。ひねくれている人はなんでも達観したがりますが、少しはバカになってその見下してる有象無象の奴らと同じ目線に立ってみるべきです。意外と楽しいですよ、動物的に感情のままに物事を消費していくのは。
つまり、(てか一気に書きすぎてなにを軸に語っていたか半分忘れていますが)
つまり!大衆文学を読むということは「感情」を知ることはできるんです!
消すことができないあの気持ち。もしかしたら、読書が受け止めてくれるかもしれません。
(締めがめっちゃ適当になったわ…)