淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

【読書】人生の夏休み(8月)に読んだ本【ブックレビュー】

人生の夏休みに読んだ本

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八月も終わる。暑い暑いと冒頭に書くのはもう嫌だ。けど今日も暑い。秋になったら書き出しは「赤く染まる紅葉系」の表現が多くなると思います。お楽しみに。

あ、八月で思い出したけどサイレントサイレンの「八月の夜」っていい曲だよね。大学生のころを思い出す…

何物でもない空っぽの状態でPV見ると胸があぁああ!↑ってなった。いやー23歳には色々こみ上げるものがあるね。


【Silent Siren】「八月の夜」MUSIC VIDEO full ver.【サイレントサイレン】

あ、23歳の夏といえば、神聖かまってちゃんの「23歳の夏休み」って曲も凄くいい曲で……

 

ということで本の紹介やっていきます。

 

『君はポラリス三浦しをん

三浦しおんは2012年に本屋大賞に選ばれた「船を編む」を読んでから久しい。

恋愛短編集は様々な恋模様を短時間で大量に取り入れることができるため一見「お得感」があるように思えるが、それは少女漫画のような正統派恋愛物語の場合であって、筆力がある作家の恋愛短編小説はじわじわ闇を醸し出したかと思えば、いきなりフルパワーで物語を転がしてきたり、仲睦まじいカップルの話のあとに、不倫をテーマにしたり、最終的には一般的なエンディングの「救い」ではなく、ある種「諦観的救済」でもやもやとしたまま幕を閉じたりと、まぁ乱高下が激しく読むのに体力を使う。

「君はポラリス」もよく言えばカラフルな恋愛物語。言い方を変えると縦横無尽に愛を駆け回る暴走物語。といってもそんな奇想天外な話ではないんだけど。

おすすめは二つ目短編「裏切らないこと」

自分の奥さんが生まれて間もない息子の〇〇〇を咥えているのを偶然目撃してしまって……というまぁなんというかいきなり全力投球だなって感じのお話だ。といっても性癖が強すぎる官能小説というわけではないのでご安心を。女性目線で書かれる異性としての赤子の価値観を男目線で追及していく。ほんと作家って器用、凄い。

微笑ましい?気持ちで読み終わり、勢いそのまま次の物語に飛び込んだが最後、暗く濁った愛の溝に急降下していく。この落差が疲れる…んだけどたまんない!

どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だとちゃんと把握できるのだろう。

引用 p.81

 

 

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バカの壁』養老孟子

この「バカの壁」はなんと平成で一番売れた本!ですよ!新潮新書創刊とほぼ同時に出版され、新ブランドの定着に大きく貢献したとか。発行部数は2014年時点で436万部。つまり日本国民の29人に1人くらいは持っている!ってことにはならないけど、凄く売れた本ってことです。まさに現代聖書。

実は私、養老孟子さんは小難しくて苦手です。前に別の本を読んだときの感想は『そこに「何か」あることはわかるけど、「何が」あるのかは分からない』といったものでした。結局読み終わったあと「何も」残ってないという。なので今回も挫折するんじゃねぇかなって半ば乗り気じゃありませんでした。(まぁ話題作だし読んでおこう程度のテンション)

結論、読みやすかった👍

内容の軸は「人間史における一元論の否定」。まえがきが少し小難しいようにも感じるが、その後は天才特有の痛快な皮肉を効かせながらバカがどんどん書かれていくため詰まることなく読んでいけると思う。

サラリーマンというのは、給料の出所に忠実な人であって、仕事に忠実なのではない。職人というのは、仕事に忠実じゃないと食えない。自分の作る作品に対して責任を持たなくてはいけない。

引用 p.160

 

『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』上野千鶴子/古市憲寿

大好き古市憲寿。これで彼が出した本は全てコンプリートしました。

平成31年東京大学入学式での祝辞が話題となった東京大学名誉教授上野千鶴子氏を呼んで「介護問題と若者のこれから」をテーマに対談形式で書かれていく。

まさに圧巻としか言えない最高学府への招きに相応しい祝辞。

www.u-tokyo.ac.jp

年齢と共に変わっていく親子関係が行き着く先は介護問題。必ずやってくる問題にもかかわらず、親のために準備をしている子供はその直前になるまで全くいない。しかしそれこそ現代人の傾向であり。甘えとゆとりが招く新しい親子関係が如実に語られる。ぬるま湯のように優しく包み込んでくれる親子関係に浸かることはけして悪いことじゃない。しかしそのせいで私たち子供は忘れてしまっている。親もまた1人の人間だということを。

老後2000万問題が騒がれたのも記憶に新しいが、介護保険問題や老人ホーム問題などは不可避なものであり、国が意気揚々と発刊している頭ぱっぱらぱーなパンフレットに書かれているような夢のような老後環境は一般人の我々には叶いそうにない。そしていまや定年を迎えても労働から逃げ出すことはできない。真の余生は死後の世界かもしれないな…

いずれ向き合うことになる様々な介護、老後問題に目を背けず今一度覗いてみてはどうだろうか。

上野 親より先立つのは親不孝だっていう気持ちはないの?

古市 いや、あまりないですね……。もちろん親より先に死んだらいけないという規範よりは、親に先に死んでほしくないって気持ちのほうが強いかな。

上野 じゃあ、親が生きているあいだに自分が死ぬほうがラク!?

古市 ああ、ラクですね。親が悲しむのはわかるんですけど……。

引用 p.38

 

『ちょっと今から仕事やめてくる』北川恵海

ブックオフ100円コーナーでタイトル買い。

見覚えあるタイトルだなと思ったら、福士蒼汰主演で実写化してました。 

movies.yahoo.co.jp

ブラック企業に疲弊して人生を諦めかけていた新卒社員隆の前にヤマモトと名乗る一人の男が現れる。まったく見覚えのない顔に戸惑ったが「ほんま久しぶりやなあ。小学校ぶりか」と笑顔で語りかけるヤマモトの優しさに隆は助けられ、心を開いていった。しかし本物の同級生ヤマモトは海外赴任中であることを知る。目の前で談笑するヤマモトは何者なのか。調べていくうちに浮かんできたある人物。その「ヤマモト」は三年前に自ら死を選び、今この世にはいないはず存在だった。

 

意外とあらすじ書くの難しい(´・ω・`)

ストーリーはとても前向きになれるお話なのでへこんでいる人におすすめ。テンポよく会話が展開されていくので読みやすさも抜群。しっかり伏線回収もして、綺麗なエンディングで締めています。

ちょっとブラック企業の書き方がえぐくて笑ってしまいましたが、いや実際本当にあるんだろうな。あんな環境が。辛い環境の中耐え働く人への応援小説です。だから俺向けではなかった。

ちなみについ先月に続編「ちょっと今から人生かえてくる」が発売されました。

ddnavi.com

俺の人生を赤の他人に、どうして語られなきゃいけないんだ。

俺の人生に口だしできるのは、本気で俺のことを心配してくれる人だけだ。

引用 p.205

 

コンビニ人間村田沙耶香

読みたい読みたいと思い続けて早3年。2016年第155回芥川龍之介賞受賞作。

芥川賞とは純文学の新人賞。純文学とは芸術性が高い小説のこと。つまりストーリーが二転三転するライトノベルとは双極にある文学と言ってもいい。最近そういった純文学にはまりつつある私はさらなる天邪鬼になってしまいそうで怖いなと思う反面、なんか感性が大人になったのかななんて自分の成長を自分で噛みしめながらこの「コンビニ人間」を読んだ。

主人公はコンビニバイト歴18年で彼氏なしの36歳女性

さてそう聞いて主人公にときめくだろうか。ときめくわけがない。娯楽性が高い小説だったら絶対に転生をしなければ許されない。しかし、純文学はこのリアルが呼吸をすることで物語世界が動き出す。

多様性というのは言葉だけで実際は全てがマニュアル化され、一定の役割を強いられるこの世で主人公古倉恵子はなぜ「普通の道」を進まずにコンビニバイトを選択するのか。働き、そして生きるに言及した一冊。

コンビニ店員の感性が異常にリアルすぎたので調べてみると筆者の村田紗耶香氏自身も長年コンビニバイトに勤しんだ一人であった。だからこそ視覚と聴覚をフルに使って働くコンビニ店員の描写はあまりにも鮮明だった。物語が生きているとはまさにこのことだと思った。

何かを見下している人は、特に目の形が面白くなる。そこに、反論に対する怯えや警戒、もしくは、反発してくるなら受けてたってやるぞという好戦的な光が宿っている場合もあれば、無意識に見下しているときは、優越感の混じった恍惚とした快楽でできた液体に目玉が浸り、膜が貼っている場合もある。

引用 p.70

 

 

終わりに

と合計5冊を紹介しました。気になるのがあったら読んでみてね。(書き疲れたのでもう適当に終わらせたい。)

ちなみに今月はこの他にライトノベルも5冊ほど読んだので、余裕があったらそちらも紹介したいと思います。

 

てか、本が好きな人いる??なんか周りを見ても全然いなそうなんだけど泣

みんなも本をバンバン読んで、変に頭でっかちになって、難しい言葉を多用するようになり、最終的には哲学的なくっさい人生論を一緒に語り明かそう。

reyu.hatenablog.com