淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

【勉強方法】取ってどうする!?漢検2級【勉強時間】

履歴書に「漢字能力検定2級」と濃く書いた。

個の力を証明するために資格を取ろう!と言われているけど、ここでいう資格は「意味がある資格」に限る。

特に仕事に直結しない個の趣味色が強い資格は合格を自慢したところで、周りからは「へぇ凄いじゃん」と冷ややかな反応しか返ってこない。

 

「え、そんな資格取ったところで今更どうする資格」の最上位に位置するのは「日本漢字能力検定」通称「漢検」だろう。

漢検は中学受験、高校受験そして大学受験?では加点対象となる有益な資格だが、大人の世界では漢検は評価されないのだ。就活で加点対象になることあるらしいけど、都市伝説だと思う。

 

その漢検に大学生最後の春をかけて挑んだ22歳の男がいた。私である。

 

なぜ漢検2級を受験したのか。

きっかけは些細なことだった。昨年の夏、小学生のいとこに漢字を教えていたときのことである。

『長』

見覚えがありまくる超常用漢字である。

この漢字の書き順を問われた。すると俺はなんの迷いもなく

俺「そんなの簡単だろ。横、縦、横、横、よーこ……」

俺の指導を遮るように従妹は両手を大きく交差させてバツを作った。

従妹「ぶー!縦、横からでしたー!」

俺「は、そんなわけねーだろ」

スマホを取り出して「長 書き順」で検索をかける。文学部出身として検索履歴に残すだけでも恥ずかしい検索ワードだ。

そこでためらいもなく最初に引かれた線は、縦だった。

俺「……マジじゃん」

 

と、めちゃくちゃ悔しい思いをしたのがきっかけでした。意外と書き順適当だったんだなと。そして自分「漢字」を知らないなと。そんな気づきから漢検の受験にいたったわけです。

 

漢検2級の勉強方法

書き順がきっかけで漢検受験を始めたのに2級は書き順を問われないという。

勉強方法は超単純!

この1冊を極めるだけ!

漢字検定2級〔頻出度順〕問題集 (高橋の漢検シリーズ)

(クリックするとAmazonに飛びます)

この漢字検定2級〔頻出度順〕問題集 をやりまくりました。

A、B、Cで頻出度順に分けられているのですが、全部やりました。

読みから部首まで全部やりました(当時)。

一番苦手だったのは送り仮名。「このネット社会で文字を手書きすることに意味があるのか」と邪念が頭を過ることも多々ありましたが、全部やりました。「甚だしい」を本番最後まで「甚しい」と書いてしまった凡ミスがいまだ悔やまれる…。

そして本番まで残り1週間に入って

漢検2級漢字学習ステップ 改訂三版

漢検2級漢字学習ステップを一通りやりました。こっちは暗記というより確認ですね。勉強の主軸としては物足りない。最終確認に丁度いい内容です。

その中でふと出題された国璽って2級レベルを超えていると思うんだけど。書けねぇわこれ。

 

結局勉強時間はどのくらい?

だいたい期間は3か月程度

時間は1日1時間もないくらいだと思います。もちろんやらない日もありましたが、単語帳を作ったりして地道に勉強をしていました。

試験3日前からはブーストをかけて受験時代を思い出すほど勉強して、いざ本番に。

封筒のサイズで合否が分かってしまう

ちなみに届いた封筒のサイズで開けなくても合否が分かります。

合格の場合、証書が入っているのでA4の封筒に。

不合格の場合、結果が折りたたまれて送られてくるので定型封筒(縦長のやつ)

なぜ知ってるかって、中学の時に漢検三級を受けて一回落ちてんだよ😡

関西旅行から帰ってきた俺はポストから飛び出ている大きな封筒を見て、凄くほっとしたのをいまでも覚えています。

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ちなみに関西旅行記(一人卒業旅行)はこちらから↓

reyu.hatenablog.com

漢検2級から何を得たのか』 短短編物語

封を開けるとそこに「合格」の文字があった。だからといって今更喜ぶようなことはない。ポストから頭を出している封筒を見たときからその結果は分かっていた。

なのに合格証書を持つ私の手は小さく震えていた。その震えはこみ上げる喜びからではなく、心から「ほっとした」からだと思う。

大学生活は挫折の連続だった。勇気を出して挑戦したことはことごとく失敗し、負けじと努力を積み重ねたものはその高度に耐え切れず落ちていった。その失敗した自分を見せるのは恥ずかしいという気持ちが強く誰に打ち明けることもなく、その負の感情をずっと一人抱えていた。私は自分を守るために「今回は運が悪かった」「ま、私だから仕方がないよ」「この結果がまさに私らしい」と辛い悔しい気持ちを繕って、自分を見下して、蔑んで「仕方がない」と納得させてきた。

それが限界を迎えたのは就活の時期だったと思う。一方的に告げられる他者から否定。そしてそのダメージを和らげるために自らを否定する。「高望みしすぎたんだよ」「大学でなにもしてなかったし」「何もないやつが期待しすぎたかな」。自分を癒さず、自分を救わず。ゴールが見えない道を前へ前へと進む。

辛く険しい道の先にいるのは強い心を持った成長した自分。だけど私は自分を見縊って逃げ道を歩む。その先にあるのは私に誰よりも無関心な私。

ただ最後に唯一自分に期待していたのは漢検だった。これまでの4年間なにもできなかった自分だけど、なにもできない自分ではないと信じたい。私はなにかできるはずだ。そんな一縷の希望に縋って漢字検定に挑んだ。

漢検が最後の希望なんて馬鹿馬鹿しいのだろう。社会的になんの価値もない資格に一生懸命な姿は愚かで不器用な人間そのものだと思う。だけど、私は欲しかった。自分の努力が認められるモノが欲しかった。なにか、ほんの小さなことでもいいから。

だから「合格」の文字を見たとき、私はほっとした。ああ、私はできた。よかった。ほんとよかった。周りにこの合格を報告したところで大きな反応はないだろう。逆にバカにされるかもしれない。だけど私は漢検を通じてやっと自分で自分をほめることができたんだ。

普通自動車第一種免許の下に「漢字能力検定2級 取得」と濃く書いた。きっと評価はされることない。面接で話題にあがることもない。これは勉強したら誰でも取れる資格。

書き終わった履歴書を封筒に入れる時、見覚えある顔と目が合った。何もないあのころの私は口角を無理やり上げて平然と自分を繕っている。

「そうえば、証明写真って3ヵ月以内のだっけ…」

私は少し伸びた爪先で昔の自分をゆっくり剥がした。

この物語はフィクションです

 

 

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