東京の夕焼け
助手席から眺める夕日はいつもより赤く見えた。
目の前を走るハイエースのテールランプよりも真っ赤に輝く太陽に目を向けながら、硬い背もたれに疲れた体を預ける。そしてハンドルを握る先輩に聞こえないよう、溜まっていた空気をゆっくり吐いた。今日はこれで終わり、明日もまた同じ日が始まって終わる。
窓のに映るのは雲一つなく真っ赤に染まる空、その下では都会の形をしたシルエット群が肩を寄せ合っている。その景色に''東京''を感じて変な笑いがこみ上げてきた。東京でずっと過ごしてきたから、東京ドームやスカイツリーを見たところで東京を実感することはまずない。この景色もいつもの夕暮れとはなにも変わらないはずなのに、今日はなんだか時速80kmで延々と流れる都会の姿に心を奪われた。この気持ちは多分“感傷的”ってやつだと思う。そしてたぶん疲れてる。
暖かな車内と一体感覚で揺れる車内。ゆっくり沈み始めたまぶたを擦りながら、一足早く眠りにつこうとする東京に向けてこっそりシャッターを切った。