淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

死ぬまでにはどうにかなりそうだな

このマンションが完成したら転職しよう。毎朝大型車が並ぶ騒がしい現場を横目に最寄り駅に向かう生活をだらだら一年続け、ついに完成を迎えようとしている。

私が住む1Kの部屋から見えていた鉄骨は今や綺麗な白色の壁に隠れ、大きな窓ガラスの向こう側では内装工事が順調に進んでいるようだ。手を伸ばせば全てに届く広さの1Kを愛している自分とって日当たり良好のベランダ付き3LDKは不要そのもので興味すら湧かないが、いやできるものなら住みたいが、そのマンションのチラシで笑顔を浮かべている家族を見ると、目の前にあるはずの新築3LDKがはるか遠くにあるように思えた。

6000万円〜

パソコンの画面に私が知りたかった情報が映る。

6000万と自分の年収。単純な割り算で出てきた二桁は私に事実だけを告げた。まぁ二桁で済んだから死ぬまでにはどうにかなりそうだなと思った。その数字は今の数字であって今の数字でしかないから何も悲観することはない。大丈夫、もっと稼げば、とにかく稼げば私もチラシの家族のような夢の生活が……

ノートパソコンをゆっくり閉じて、5.5畳のリビングで一人天井を見つめる。

夢までの距離をお金で測ってる自分に、小さなため息が出た。

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