【ジョーカー】泣くように笑い続ける【感想】
話題の映画『JOKER(ジョーカー)』
広告をあまり見た記憶がないけど、映画興行収入ランキングは2週連続1位を記録している話題の映画「ジョーカー」。
この映画はR15指定。だから絶対万人受けする内容ではないはずだ。そもそもアメコミヒーロー『バットマン』の番外編的立ち位置なので、入り口はあまり広くないようにも思える。
だが、公開から2週間たった今もその勢いは留まることを知らない。
うーん、なんでこんなに話題になっているんだろう。
R15指定ということは、愛と正義だけじゃ解決できない陰鬱な関係や遠慮なく噴き出す血みどろのGAMEは確約されたも同然だ。
え、それを見て「ジョーカーまじよかった!」と絶賛しているのだとしたら世も末じゃね。
私は「悪」にスポットライトが向けられたこの映画がなぜ好評なのか、その理由を確かめに劇場に向かった。(つまり単に見てみたかっただけ)
バットマンを一度も見たことないけど、大丈夫。
『ジョーカー』心優しき男がなぜ悪のカリスマへ変貌したのか!? 衝撃の予告編解禁
(↑木製看板でブッ叩かれるシーンが一番ビックリした)
私はバットマンなのかバッドマンなのか曖昧なくらいバットマンに疎い。いやBADMAN,BUDMAN,BATMAN,BUTMAN,もちろんスペルも分からない。とりあえずBUDMAN(つぼみ男)ではないだろう。とても弱そう。
つまりバットマンの知識が「黒いよね」程度の私でもこの映画は十分楽しめた。
なによりまずバットマンは出てこない。超能力じみたアクションシーンもない。
その内容は単純明快で『一人の人間が闇に堕ちていく話』である。
コメディアンを目指す優しい男性アーサーがなぜ悪のカリスマジョーカーに堕ちてしまったのかを描くバットマンシリーズの番外編……と今、自分で打ってて思ったのだが、「堕ちていく」と表現するのは少し間違っているかもしれない。
そもそも主人公アーサーは光を浴びることがない陰鬱とした日々をこなしていた。つまり「堕ちる」ほど昇った場所に彼はいたことはない。冒頭シーンではあたかも「優しい人」として演出をされているが、演出を脱がせばそこにいるのは「空気を読めない迷惑で気弱な人」だ。不器用でも一生懸命に生きようとする姿と評価できるのは「主人公」というフィルターを通してアーサーを見ているからであって、実際に生身の彼を目の前にしてその惨めな姿に寄り添い、共感できる人間は少ないだろう。
だからこそこの映画は『負の成長記録』だと思う。
+⇒-の変化ではなく、-⇒-の成長だと思う。
言葉にするなら闇⇒悪みたいな。そんな感じ。
悪のカリスマを称賛するレビューが多いけど
(こんな格好で犯罪に手を染めたらバレバレだろと思ったけど映画を見て納得)
だからこそ「ジョーカーまじよかった!」的な称賛には疑問が残る。
確かに一人の人間が染まっていくストーリーとしては筋が通ったものだったが、いくつものファクターがご都合主義的に用意されている気がしてならなかった。特に「拳銃」に関してはいろいろとツッコミたい。(なぜ銃を渡されたのか、なぜ病院という場所でポケットに入れっぱなしにしたのかなど)
面白い映画だったけど、面白いだけ。というのが私の感想である。
アーサーが不意に起こしてしまった殺人事件はゴッサムシティの貧民達を奮い立たせた。彼らは赤鼻のピエロのお面を被り、幸福を独り占めしている富裕層にたいして抗議運動を始める。
そこで崇め讃えられる人物がアーサーであり「ジョーカー」。それは負の群衆が一方的に作り出した悪のカリスマという偶像。
泣くように笑う
(主人公アーサーを演じたホアキン・フェニックス)
主人公アーサーは失笑恐怖症を抱えている。
ちょっとした気持ちの変化が生じると笑いが止まらなくなる失調症の一つである。
劇中でアーサーは突然笑いだすことが多々あるのだが、これがまぁー怖い。(小並感)
アーサーはずっと「泣くように笑い続ける」のだ。
泣き笑いとは全く違う。悲しくて、辛くて、苦しくて、泣くように笑うのだ。
この映画ではジョーカーの所作というよりも、その役者の演技力に恐怖を覚えた。
演技についての甲乙を語れるほどの身分じゃないけど、やっぱり邦画は洋画に勝てねぇやと確信させる作品だった。
まとめ
うーーーん、星は3つといったところ。
面白い映画だけど、面白いだけだった。バットマンシリーズを見てたらきっとこの感想は大きく変わってくるのだと思う。
そもそも自分は『羊たちの沈黙』と『SAW』をミックスした作品を(勝手に)期待してたせいもあって肩透かしを食らった気分でした笑。グロテスクなシーンはなくはないけど……まぁ頭を潰された人並みの流血量だからそんなに構える必要もありません。
とりあえずダークナイトを見てみようと思う〆
てか絶対今年のハロウィンはジョーカーだらけになるよね