淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

自称読書家が今更読んだベストセラー「君の膵臓をたべたい」

「趣味はなんですか?」

「趣味はなんですか?」

この質問は至る所で投げられ、心の鍵となる。距離感が測り得ない相手を前に地雷を踏むことなく(趣味はありませんと答えてきた場合を除く)、それとなく会話の糸口となる便利な質問だ。

それに私はこう答える。

「えー、読書と〜…」

さて相手にどこまで自分を晒そうか、趣味=ギターはまぁ大丈夫として、バイクはどうかな。興味ない人にはヤンチャな印象を与えてしまう可能性もあるし。そもそもここ2年くらい乗ってないから趣味にカウントできるのか。じゃあ映画鑑賞…は目の前の人がガチ勢だったら大変危険だ。ガチ勢ほど趣味にとりあえず映画と答えるニワカを敵視する。アニメもやめた方がいいな、オタクとは縁がなさそうな空気を纏ってるし、喫茶店巡りなら多分ウケがいいはずだ。喫茶店に縁がありそうな空気を纏っているし・・・

と、答えを紡ぐその瞬間に様々な葛藤があるわけだが、趣味を聞かれればどんなときもまず「読書」を頭に持ってくるくらいには本が好きである。人より本に触れている自信はあるのでまぁ比較の表現が行き着く妄言として”読書家”と自称してもよいだろう。

 

そんな自称読書家は実はあまりベストセラーを読んだことがない。大変お恥ずかしいことである。なので私の趣味は読書です発言に食いつかれると困ることが多い。

「私、この前、鏡の古城読んだよ!」

「あ〜、最近映画化して芦田愛菜が声優やってるよね〜」

と全く内容に触れることなくYahoo!トップニュースから引っ張ってきた情報でやり過ごす。メディアミックスされた作品ならアニメ、映画の趣味範囲からも情報が来るから対処できるが、嬉々として話を併せてくれる相手の口から”タイトルしか聞いたことない本”が出てきた時はこう言い切るしかない。

「あ〜本屋に平積みされてるよね」

 

「君の膵臓をたべたい」ってなんだよ

流石に情けなくなってきたし、自分の3年ぶり第三次西尾維新ブームも落ち着いてきたのでベストセラーをどんどん読んでいこうぜ!ということで今回たまたまブックオフの100円コーナーで手に取ったのは「君の膵臓をたべたい」だった。

住野よるの作品は久しぶり〜👏

「青くて脆くて痛い」と「また、同じ夢を見ていた」は読んだことあったけどこの代表作はあらすじすら目を通したことがなかった。これが俗にいう天邪鬼。

あらすじは久しぶりにはてなブログの引用機能を使わせていただきます。

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて―。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!

「あは〜余命わずか系ね〜 最後に読んだの小学生の頃に読んだ恋空が最後だわ。まぁ住野よるさんだし後半に効いてくるボディーブローみたいな伏線張って、最後にパンチ決めてくるんだろうけど、まぁこのタイトルも伏線なのかな。あらすじに余命わずかって書いちゃってるから始まりと共に終わりが見える恋愛物語ってとこ?いや死期が近い女子高生が恋愛を”始める”余裕があるっていうのも変な話だろ。それに・・・」

とオタク特有の早口脳内独り言を呟きながら表紙をめくった。

 

評価:星4.5です!

いやー、いい話だった( ;  ; )

まず余命わずかのヒロインの山内桜良がとても可愛い。軽快な口調と歯に衣着せぬ物言い、自由奔放に振る舞う中に寂しさと葛藤が見える。可愛くて生意気。ただ意気は生から少しずつ遠ざかっているんだけど。

まさにMPDG(この略語使ってみたかった)に巻き込まれる男性主人公受身型の”青春物語”。あえて恋愛物語とは言わない。主人公と桜良のコミカルなかけあいが面白く、それぞれの成長(これが少年少女の醍醐味!)もしっかり見えた。そしてなにより後半の話の展開が衝撃的すぎて、ただちゃーーんと伏線が貼ってあって、そこに気づいてるようで気づいてなかった自分に気づいたりして…色々語りたいけど話の核心に触れてしまうのでここでは語らず。

読み終わった私はゆっくり裏表紙を閉じました。

「死に直面してよかったことといえば、それだね。毎日、生きてるって思って生きるようになった」

「どんな偉い人の言葉よりも心に響く」

「でしょ? あーあ、皆ももうすぐ死ねばいいのに」

p.63 君の膵臓をたべたい/住野よる

 

ベストセラー恐るべし

売れるものには売れるだけの理由がある!

発言が当たり前のことを堂々と言うアホのマーケターですがあらためて実感しました。てか住野よるの作品だいぶ自分に刺さるんだよなぁ。主人公が酷すぎるという意見も少なくない「青くて、痛くて、脆い」なんてその主人公がモロに刺さったし。あれ実写の吉沢亮がいい演技するんだよなぁ・・・心の整理がつかない故の陰湿が国宝級イケメン顔を霞ませるんだよねぇ。君の膵臓をたべたいも実写化されてたはず、主演は・・・北村匠海

あ〜、ちょうどいい!