淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

中小企業という名の小宇宙

今の職場で働き始めて一年が経った。

ハンドルをぎゅっと握ってビクビク右折待ちしていたあの頃が懐かしい。馴染めない環境と業務に慣れるまでずいぶんと時間がかかった。この一年で身についた営業力なんて微々たるものだが、営業マンとして一つのコマにカウントしてもらえる程度には働けるようになったかなと思う。ぼちぼち仕事の緩急具合もわかってきて、ときには肩の力を抜きながら淡々と仕事をこなしている。

 

実は入社して2ヶ月後には「もう辞めたいな」と思っていた。その理由は専ら”仕事の辛いから”。誰も何も教えてくれないとか、担当が多すぎるとか、会社の雰囲気が悪いとか、組織としてなってないとか、入社早々「ひどい会社」だと後悔しながら仕事をしていた。2ヶ月程度の何もできない人間がなーに偉そうに会社を評価してたんだろうと振り返りつつ、今の私があらためて弊社を総評するならたった一言で済む。

 

「ほんとやばい会社だぜ!」

 

そう言って笑顔で烙印を押すくらいには成長した。

 

 

 

そう、弊社はやばいのである。この”やばい”にブラック企業的な意味はない……こともないが(労働法的にはグレーな出来事はこの際置いといて)、弊社は組織的にやばいのだ。

例えるなら将軍を亡くした家臣たち状態といったところだろう。会社を導く経営者が、いない。

 

私「誰が会社の方針を決めているんですか?」

上司「さあ?」

 

中軸がないおかげで各部署ごとに異なる方針と考え方が独立し、部署をまたぐ業務の統制が全く取れていない。

他部署『それは営業判断で決めてください』

そんな言葉で、責任を丸投げされることも珍しくない。そんなボークぎりぎりの直球にはこう打ち返すしかない。

「じゃ、そのまま行きましょう(どうなっても知らんけど(鼻ホジー

 

部署間の仲の悪さは弊社に限った話じゃない。どこの会社にも確執ゆえの働きづらさに悩んでいる人は少なくないだろう。だが弊社のやばさはそこじゃない。

 

こういった諸問題を”改善しようとすると潰される”のだ。

”会社を変えようとした社員は上に潰される”。のだ。

これまで個々で潰されていった社員は多々いるらしいが(この時点で笑っちゃうけど)、聞く話では過去に2回ほど大きなクーデターがあったらしい(笑っちゃうけど)。

1回目の反乱では複数の社員が飛び出して同業の新しい会社を設立した。今では弊社とシェアを争うほどの力をつけている。良きライバルとか前向きな言葉で評価されてて笑った

3年ほど前?に起こった2回目の反乱は失敗。みんなビビってしまって呼びかけに応えられなかったとかなんとか。立ち上がらなかった人を私は責めることはできない。なぜなら弊社の平均年齢は40オーバー。社員の多くが家庭を持ち、スキルあっても転職が厳しい年齢である。積み上げてきたキャリアを無碍に賭けずに現状を受け入れて耐え忍ぶのも家族と自分を守るための立派な選択だ。

 

上の”ご機嫌”で社員の明日が決まる。社内は”整える”が、会社は導かない。それでも会社は回っていく。

私は一つ大きなことを理解した。

 

会社を動かすのに正論は必要ない。上に立てばいいのだ。

 

とまぁ1年勤めてみて「にゃるほど、こういう会社ねぇ」と察した今日この頃。他の社員たちはみんな本当にいい人(その優しさに上が付け入るわけだけど)で、会社の話題になれば「おかしいよね」「納得できないよね」と一斉に口にするが、改善に動く人はいない。でも今の私はそこに憤りは全く感じない。だって”仕方ない”のだから。潰されちゃうもんね。

コロナ禍でさえ一切変化がなかった弊社。ならこの環境は雨が降ろうと槍が降ろうと上が変わらない限り変わることはない。では、変革を迎えるのはいつか。それは上が定年退職するまでの年数を指折れば自ずとわかる。

 

あと10年。

 

その頃、我35歳。

 

現在20代、私だけ。

 

こりゃ転職しちゃってもいいか。

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