下手の横好き
下手の横好きという言葉をご存知だろうか。下手なくせにその物事を好んでやり続ける変人を意味している。なかなか理解され難い言葉だが、私にとって身近な言葉だ。それは私にとってのダーツである。
つい最近も友達に誘われて夜な夜な池袋で投げた。残業終わりで心身ともにコンディションが整ってなかったんですわwwwと言い訳を手前に本気で投げたんだが、友達の上手さが際立っちゃうのもあって私の下手っぷりが笑えないくらい露呈した。
まずはそもそもダーツが刺さらない。
さらには的に当たらない。
マイダーツを出しても初心者以下のスコア。
挙げ句の果てには初心者の女の子にボロボロに負ける始末。
『今日の〇〇は仕事で疲れてるからしょうがないよね』
温かい言葉が社畜をじんわりと刺してくる。終始自分がダサすぎてもう酒だけ飲ませて殺してくれと切実に願った。
ダーツのルールは簡単。3本の矢を狙ったところにポイッと投げるだけだ。とりあえず真ん中に沢山刺した人が勝ちといっても差し支えはないだろう。
つまりダーツは物を正確に投げる動作を必要とするスポーツとも言える。
スポーツである以上、運動神経とは切っても切れない。やはり体育で活躍していた印象が強い友達は始めて1ヶ月もしないくらいでダーツ歴3年半の私より全然上手くなっていった。私が首を傾げる隣でポンポン真ん中にいれて快音を鳴らし続ける姿をよく見る。
私の腕前はというと、投げて真ん中に入るのは7本投げて1本といったところだ。この微妙な腕前がまさに私らしいのだが、わかりやすくいうと運動神経がいい未経験者くらいである。つまり下手です僕。
「真っ直ぐ飛ばすのを意識して」
真っ直ぐ飛ばしてるつもりなんだけど曲がってしまう。
「肘を動かさないで」
肘を動かしてないつもりなんだけど動いてしまう。
「本気で投げろよ!」
ごめん、これ本気です。。。
何度このやりとりをしてきただろうか。思った通りに体が動かせない、私は典型的な運動音痴である。
だがネタになる程のド級運動音痴でもなく、「足少し早いけど、、、ちょっと走り方変だよね笑」みたいな一番ダサいタイプの運動音痴であるから虚しい。ぶっちゃけその下手っぷりを見て笑い飛ばしてほしいのだが、勝負事となると私の顔つきがつい本気になっちゃうせいもあって「いや、今のは惜しかったよ、ほんと、まじで」と傷に触れるようなフォローをされることが多い。
とは言ってもダーツを始めてから下手にはなっていない。確かに3本中2本が暴投していたころに比べれば3本ちゃんと刺さるというのは成長と言えるだろう。
だがここ2年くらいは上手くもなっていない。綺麗に成長が止まってしまった。それでも家にダーツボードを買ってまで毎日投げ続ける。まさに下手の横好き、変わり者である。なぜ投げ続けるのか、なぜ好きなのかといわれても説明できない。投げたいから投げるし、好きだから好きとしか言いようがない。
あぁ。。。この熱量がセンスとマッチしていたのであればその方面のプロになれたのだろうに。
悲しき運動音痴、今日もせこせこ投げ続ける。