淡々と、かつ着々と。

やるせない26歳が綴るこれは独り言

通勤路

最寄駅までの距離を考えて、急行から逆算して家を出ていたあの頃が懐かしい。その通勤スタイルは会社への行脚を繰り返すことで感覚的に研ぎ澄まされていく。いまや信号が変わるタイミングや乗客の流れなどを見るだけで、その”空間”から腕時計に目を落とさずとも5分単位で現在時刻が分かるまでになった。複雑な電車の時刻表も気づけば頭の中にインプットされていた。繰り返しは最大の学習方法である。

通勤を完全掌握したことで遅刻への不安がなくなり、自宅から会社までの約40分を風景を嗜む時間として過ごせるようになった。するとこれまで何度も通ったお馴染みの通勤路も少しずつ表情を変えていたことに気づく。冬の訪れを知らせる目印を数えていく。木々の色づきはより淡く、風に吹かれて落ち葉が軽く舞う。古びた町内掲示板に書かれた”年末”の文字、すれ違う学生たちの冬服。首筋に触れる秋風ときつく締めるネクタイ。マスクから溢れた白い息。

変わらない道程に、変わり続ける景色。やってくる季節。

ホットコーヒーが美味しい幸せを片手に、会社へ向かう。

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